
戦車のプラモデルは作業工程が多く、ウェザリングの技法なども多岐に渡るためなかなか分かりにくいジャンルなのではないでしょうか。
今回はタミヤのドイツ3号突撃砲G型(1/35)を題材にして塗装やウェザリングなどの方法を順序立てて整理してみようと思います。
ちなみにウェザリングのマテリアルは近所の模型店やAmazon・楽天市場で入手できる国産の物(クレオス・タミヤ)に限定しています。
1.組み立て
車体の組み立て

戦車プラモデルのセオリー通りにまずはOVM(スコップなどの車載工具)も含めて可能な限り組み立ててしまいます。
転輪と履帯も組み付けてしまうやり方もありますが、そうすると塗装の難易度が一気に上がってしまうので私は最後に取り付けるようにしています。
転輪の組み立て

戦車のプラモデルあるあるで非常に悩ましい所なのですが、大抵のキットの転輪にはパーティングラインが入っています。
手っ取り早く消す方法は無いので地道にヤスリ掛けをするしかないのですが、写真のようなスティックヤスリを使うと比較的楽に作業することができます。
あまり高番手のヤスリでは埒が明かないので240番から始めて400番で仕上げるようにするとタイパが良いのかと思います。
2.塗装
サーフェイサー塗装


透け防止と本塗装がしっかりと定着するようサーフェイサーで下地塗装を施します。
グレーなどでも構いませんが、今回は塗装色のダークイエローと相性の良いマホガニー色のサーフェイサー(クレオス)を使用しました。
ちなみにサーフェイサーの希釈には乾燥が速いラピッドうすめ液(クレオス)を使うと作業効率が上がります。
車体の塗装


車体は指定色(今回はガイアノーツのダークイエロー1を使用)で塗装した後、ホワイトを混ぜて明度を上げた色でハイライト塗装すると奥行きと立体感が出ます。
ちなみにハイライトはその色で全てを塗り潰してしまわないよう注意しながら光の当たる面などを意識しながら薄く吹いていきます。
3段階の色を吹いていくカラーモジュレーションという技法を耳にすることがあるかもしれませんが、通常は2段階で十分ではないでしょうか。
転輪の塗装

転輪のゴム部分は筆塗りしても構わないのですが、はみ出す→修正する→再びはみ出し修正するの無限ループに陥ってしまいがちです。
どうせウェザリングするので多少はみ出しても良いという考え方もありますが、円形定規(ハセガワトライツール・カッティングテンプレートC)使ってマスキングをしエアブラシで塗装すると速く綺麗に仕上げることができます。

手順としては転輪全体をブラックで塗装した後、円形定規をあてがいホイール部分を車体色で塗装します(マスキングテープを切り出すより断然楽です!)。

この際ブラックの上からホイール色(今回の場合はダークイエロー)を塗装するため色が沈んでしまうので、ホワイトを少量混ぜて明度を上げておくのがポイントです。
履帯(キャタピラ)の塗装

履帯(キャタピラ)は説明書の指示色(メタリックグレイなど)でも良いのですが、私の場合は色に深みが出るのでタミヤのダークアイアンとNATOブラウンを1対1で混色して塗装しています。
NATOブラウンでなくてもブラウン系の色であれば構いません。
余談ですがかなり昔に発売されたキットの中には履帯の素材がポリプロピレンの場合があり、ラッカー塗料で塗装するとポロポロと剥がれ落ちてしまうので注意が必要です。
この場合はプライマー入りのサーフェイサーで下地塗装するなどの対処が必要になります。
3.デカール貼り

デカールを貼る際には密着性を高めシルバリングを防止するため予めセミグロスクリアー(ガイアノーツのEX09など)を吹いておきます。
ウェザリングの前準備としてこの段階で車体全体に吹いておくと良いでしょう。
4.車体上部のウェザリング

ウェザリングに取り掛かる前にセミグロスクリアーで全体をコートしておくとスミ入れの際に塗料がスムースに流れます。艶消しのままウェザリングすると塗料が流れず滲んで汚くなってしまいます。
ウォッシング






ウォッシングとは薄めた塗料を車体に塗って拭き取る事により、拭き残った塗料によって立体感を出す技法で車体色を落ち着かせる役割も担っています。
- タミヤのエナメル塗料などでも良いと思いますが、Mr.ウェザリングカラーのグランドブラウン
が使いやすいです。 - 専用うすめ液でシャバシャバに薄めて車体に塗りつけます。
- 完全に乾ききらないうちに方向(前から後ろ、上から下)を意識しながら綿棒等を使って拭き取ります。
- ボルトの周りや凹み部分に塗料が残るようにします。
- Mr.ウェザリングカラーは濃かったり大量に塗りすぎると拭き取りが大変で汚くなるので注意が必要です。
ピンウォッシュ(スミ入れ)






ピンウォッシュのピンはピンポイントの意味で、細部のスジやモールドなど狙ったところだけに流し込むウォッシングです。この写真ではボルト部分とハッチ周りに施しています。
前出のMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンを流し込み、綿棒やガイアノーツのフィニッシュマスター
広い面の拭き取りには綿棒を使い、細かい箇所にはフィニッシュマスターといった具合に使い分けると作業がはかどります。
チッピング




チッピングはブラウン系の塗料を使って塗装の剥がれや擦れを表現する技法です。
エナメル塗料を使うのが一般的ですが、私の場合は扱いの手軽さと色目の良さからガンダムリアルタッチマーカーを使っています。
エッジ部分などに直接書き込んだり、ちぎったスポンジに染み込ませてポンポンと叩きつけたりします。
ぼかしペンを使って馴染ませたり、失敗してしまった場合は消しペンを使うと無かった事にできます。
ストレーキング(雨垂れ表現)






ストレーキングとは雨だれや汚れ、錆などが縦方向に流れた跡を再現するウェザリング技法のことです。
チッピングと同様にタミヤのエナメル塗料等でも構いませんが、私はMr.ウェザリングカラーのステインブラウン
- 極細の面相筆でランダムな長さ、太さになるよう雨垂れを書き込みます。
- 基本的に先(下)に行くほど細くするのですが、一度でそのように描くのは至難の業なのでMr.ウェザリングカラー専用のうすめ液
を使って形を整えていきます。 - 調整作業は塗料が乾ききらないうちに行うのがポイントです。



ウェザリングはどの工程もやり過ぎ注意です!もう少しと思うところで止めておかないと汚くなってしまいます。
5.車体下部のウェザリング




車体下部のウェザリングはウェザリングペイントのウォッシュアンバー、ミディアムマッド、ファインダストを使って施しました。
下側は付着したばかりの泥をイメージして濃いブラウンを使い、上に行くほど乾いてくるので明るい色で塗装していく訳ですが、できるだけ筆の筆跡が残らないように塗る(ぼかす)のがポイントです。
但し筆跡をぼかすのはけっこう難しく手間も掛かるので、場合によってはエアブラシで吹いてしまっても良いのかと思います。
ウェザリングペイントは水性なので水で溶かしたり伸ばしたりする事ができますが、しっかり拭き取りたい場合は専用のうすめ液を使います。
6.転輪のウェザリング






転輪はMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンでスミ入れした後、同じくMr.ウェザリングカラーのシェイドブラウン、グレイッシュブラウン、ライトグレイッシュでスパッタリングします。
スパッタリングとは塗料を含んだ筆を棒でしごいて飛沫を飛ばす技法です。
尚、転輪の接地面(ゴム部分)には汚れがほとんど残らないので、飛沫が付いてしまった場合は専用のうすめ液で拭き取ります。
7.履帯(キャタピラ)のウェザリング






履帯(キャタピラー)ですが、まずウェザリングペイントのミディアムマッドとファインダストを混色し、専用のうすめ液で適度に薄めてウォッシング(全体に塗りつける)します。
続いて、転輪同様Mr.ウェザリングカラーのシェイドブラウン、グレイッシュブラウン、ライトグレイッシュでスパッタリングします。
スパッタリングとは塗料を含んだ筆を棒でしごいて飛沫を飛ばす技法ですが、塗料が多いと飛沫が大きくなってしまうので、少なすぎるかなと思うくらいの方が綺麗に仕上がります。




最後に履帯の接地面(凸部)にシルバーを擦りつけて仕上げます。
シルバーであれば何でも構いませんが、私の場合輝き具合が絶妙なのと扱いが手軽なことからタミヤのペイントマーカーを使っています。
シルバーを紙に取り出し、やや乾き気味の状態で履帯の見える部分に擦りつけます(時間も塗料ももったいないので見えない部分への作業は不要です)。
8.フラットクリアーでトップコート


ウェザリングが一通り終わったらフラットクリアーでトップコートをし直し艶を整えます。
セミグロスクリアーを吹いた時はラッカー系を使いましたが、ウェザリングを侵してしまうリスクがあるので最後は水性フラットクリアーでコートします。
しっとりした質感が好評のプレミアムトップコートスムースクリアー
9.完成






以上、戦車プラモデルの塗装とウェザリング方法でした。
ウェザリングは非常に奥が深くてここでご紹介した方法はほんの一例ですが、国産のマテリアルだけを使ったお手軽ウェザリングでもこの程度までは仕上げることができます。
ぜひ自分なりに試行錯誤しながら戦車造りを楽しんでみてください。









